■当日の動画

■ 開催趣旨

2050年カーボンニュートラル実現のために

2050年カーボンニュートラルの実現という地球規模の課題に対して、私たちがどのように向き合い、どのような取り組みをしていくべきか、次の社会の担い手となる現役の高校生、大学生と共にその学びを深めることを目的としてシンポジウムを開催致しました。

■ 実施概要

【実施日時】2022年3月29日(火)10時30分~12時30分
【会  場】衆議院第一議員会館 国際会議場(東京都千代田区永田町2丁目2-1)
【主  催】株式会社ティーエスピー
【協  賛】オーシャンキッズクリニック、株式会社イデアテクノロジー、三恵不動産株式会社、株式会社美光写苑

10:30 開会宣言
10:35 基調講演:「2050年カーボンニュートラルに向けた政府の取り組み」
   衆議院議員・自由民主党 環境・温暖化対策調査会長 井上信治
11:05 主催者挨拶 株式会社ティーエスピー 代表取締役 多田多延子
11:25 学生プレゼンテーション
   聖徳学園高校、郁文館グローバル高等学校、国際基督教大学、慶應義塾大学、東京大学
12:10 フリーディスカッション
12:30 総評、閉会宣言

■ 基調講演

衆議院議員・自由民主党 環境・温暖化対策調査会長 井上信治先生
自民党環境・温暖化対策調査会長。
これまで、国際博覧会担当大臣、内閣府特命担当大臣、環境副大臣、内閣府副大臣、衆議院内閣委員長などを歴任。
衆議院議員(当選7回)、東京第25選挙区選出。
学習院初等科、開成中学・高校、東京大学法学部卒業。
英国ケンブリッジ大学修士課程修了。国土交通省、外務省勤務。

■ 学生によるカーボンニュートラル実現のための提言

● 聖徳学園高校 岡野高芽
社会問題と向き合うことは私自身と生きること

教科書に載っている内山節さんの「連帯」という言葉の意味を紹介します。
「自然と人間との間に生じる様々な関係と折り合いをつけていくことにしか共に生きていく道筋が生まれない」と書かれています。中学生・高校生の間に自分が将来どんな姿になりたいのか、そしてどんな夢・目標を持っているのかを持っている人は少ないです。
社会問題に向き合う若者を育てるために、自分の将来というものをしっかりと具現化して、いかに自分の未来にとって社会問題が必要なのかというものを自発的に気付いてもらう必要があります。そういう意味で、まずはキャリア教育の充実が必要です。人と自然、若者と大人、未来と過去、すべてにおいて「連帯」を。根底にあるものは「マインド」です。

● 郁文館グローバル高校 山村敏幸
モリンガの木でカーボンニュートラル実現

昨年、カナダへの留学中、フィリピン系のホストファミリーから地球温暖化の影響で家が沈んでしまったなどの話を聞き、カーボンニュートラルの重大さに気づきました。政府は人間活動からの排出を削減しようという取り組みを頻繁に行なっていますが、大気中に残存する二酸化炭素を減らそうという取り組みはまだまだだと思います。
僕は植物の光合成に関する研究をしていることもあり、森林での吸収量を上げることによってその除去量を増やして炭素を減らすことを提案します。具体的には、「モリンガ」の木を使います。モリンガは、根っこは汚染水の除去をしてくれ、葉は栄養価が高く食糧問題の解決にもなり、繊維で衣服を作ることができ、しかもCO2の吸収量が杉の木の14倍です。観葉植物としてそれぞれの家庭で育てていくことを提案します。

● 国際基督教大学 石井喜大
マインドが明日を変える

大学では対話をしたりディスカッションをしたりする機会がとても多いのですが、例えば社会問題を解決する解決策としてよく出てくるのが「教育を変える」という事です。「カーボンニュートラル実現の基礎知識を子供達に教えていきましょう」という風になれば、真っ先に多分出てくるのが学校教育です。しかし、私自身、大学で主に教育学を専攻しているので、文科省が決めている授業要項やコマ数の中でできる事は限られています。でも「授業でやらないからやりません」というのは違うと思います。そこで、授業で補えない部分をアウトソーシング化していくのはどうでしょうか。
はU-comeという活動をしていて、社会問題について議論するイベントなどを主催しています。授業では補えないけれども学校という箱を使って何かできると思っています。「無関心を関心へ」というテーマで活動しており、少しでも社会問題について知ってもらうきっかけを作り、イベントを通して一人一人の気持ちが変われば良いと思っているし、変えていく必要があると思います。

● 慶應義塾大学 木伏 聖陽
歩行者のためのまち

私は東京生まれ東京育ちで、大学生をしながら会社員として塾事業を行っています。東京は身近に感じる自然というのがすごく少ない街です。
私はこの2年で一本下駄などいろんな履物を履いたり裸足で歩くことをしてきました。他のプレゼンターの方から、自分事にして考えるというお話があったと思いますが、まさにこの裸足になって靴を一つ変えてみるだけでも、どんな音がなるんだろう、どんな温度なんだろう、どんな感触なんだろうと、自分の町に対して自分ごと化していく感覚があると思います。履物の進化のリサーチを行う中で、履物は農具で使ったり川を歩くために作った等、自然と共に共生し、どうやって地面を歩いていくか考えられて発展しています。
2050年に向け、今は地面は車中心ですが、物流を上空・地下に移管して、歩行者中心のまちにすることで、地面の対応性が増えてきて、緑化が進んだり、もっと小川が流れるかもしれません。そうすると都市で循環した社会が作れると思っています。裸足でも生きられる社会を考えた時に新たなものを提案できるのではないでしょうか。

● 東京大学 松田響生
エネルギー分野と電化の必要性

CO2排出のほとんどはエネルギーに由来しているのでエネルギー分野の取り組みがとても重要です。需要側(使う場所)と供給側(発電所などつくる場所)で、同時にCO2を減らす取り組みが必要です。電気は、つくるタイミングでCO2が出ますが、使うタイミングでは出ません。であれば、供給側では、再生可能エネルギーのような脱炭素の方法で電気を作るというのが基本方針だと思います。
再エネは各国で普及していますが、一部地域ではもう、火力より安く、すべての電源の中で一番安いという国が増えています。需要側は、エネルギーを使う機器をガスではなく電気で動くものにしていくことを提案します。電化によってエネルギー効率は大きく向上します。例えば、電気自動車では、1回ガソリンで電気をつくってその電気でモーターを回した方がガソリンエンジンよりもはるかに効率が良いです。電化をすることで省エネも達成できるのがミソです。
需要をまず電化してその電気を脱炭素化することで、カーボンニュートラルを進めていけば良いのではないでしょうか。

■ 主催者あいさつ

現在、世界の平均気温は年々上昇しており、このまま温暖化が進めば、自然環境だけでなく、農業・金融・産業など経済への打撃、紛争や移住など世界の安全への打撃、病気や死亡率増大など人間の生命にまで多くの影響を及ぼします。
それを回避するためにも、世界が一丸となってカーボンニュートラル実現を目指し、特にCO2排出量の多い日本はそれを先導していかなければなりません。
本シンポジウムは、2050年カーボンニュートラルの実現という地球規模の課題に対して、私たちがどのように向き合い、どのような取り組みをしていくべきか、政府の方や次の社会の担い手となる現役の高校生、大学生と共にその学びを深めることを目的として開催致しました。
カーボンニュートラルについてより知識を深めていただくことで、これからの事業や活動に確実に役立てていただましたら光栄です。

株式会社ティーエスピー 多田多延子

■ 当日の写真

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